Inhuman Age

私たちは非人間的な時代に生きている。もう胸襟を開いたコミュニケーションをすることはない。親切は仇になる。忠告は恨みを買い，助言は反感を呼ぶ。称賛は追従と誤解され，批判は否定と受け取られる。

嘘ではないが本当ではないことで勧誘するのが常識化し，暴論と極論が理のある言葉をかき消していく。あなたのためだからと自分のために他人を利用し，みんなのためにと言って人々を食い物にする。

誰しも犯す些細な過ちを見つければ，正義の言葉で糾弾し，自分の立場に反することは全否定する。自分を納得させるために，他人をけなし，身びいきをあからさまにして周囲に忖度を強要する。

わかっている。それが今の時代だ。時代なのだ。「最近の若者は」とか「トランプは」とか「老害で」とかいうことではない。時代なのだ。私たちは非人間的な時代に生きている。

わかっている。が，ついていけない。どうしてもコミュニケーションをしようとしてしまう。そして投げた言葉が跳ね返ってあっちの方に行き，言葉ではなく冷たい視線が返ってきて，寂しくなる。

二つのことを思う。どうしてこんなことになってしまったのか。私にも責任の一塵があろう。もういい加減いい年なのだから。何をしてきたのかと悔しくなる。

もう一つは，こんな時代だから，みんな自分勝手にふるまう時代だから，私も自分勝手に人間的にふるまおうと思う。疎んじられてもいいではないか。私は人間でありたい。